ムクドリはなぜ駆除できない?
鳥獣保護管理法が、野生の鳥や獣の捕獲・殺傷と鳥の卵の採取を原則として禁止しているためです。環境省の「捕獲許可制度の概要」は、狩猟による場合を除いて原則禁止で、被害の防止や学術研究などの目的で許可を受けた場合に限って認められると説明しています。
神奈川県大和市が公開した「市長への手紙」の回答(令和5年9月5日)は、中央林間駅前のムクドリについて、法律で保護されているため「鳴き声がうるさい」「生息数が多い」といった理由だけでむやみに駆除することはできないと答えています。長野市のページ(2026年8月19日更新)も、ムクドリは鳥獣保護管理法で保護されている野鳥で、許可なく捕まえたり傷つけたりすることは法律で禁止されていると説明しています。
狩猟鳥獣なのに、街なかで捕獲できないのはなぜ?
ムクドリは環境省が定める狩猟鳥獣(鳥類26種類)の一つですが、狩猟には期間・免許・登録が必要で、住宅が集まる地域や駅などでは銃による狩猟が禁止されています。駅前や住宅街に集まる群れを、狩猟で減らすのは現実的ではありません。
| 狩猟の決まり | 環境省「狩猟制度の概要」の内容 | 街なかのムクドリとの関係 |
|---|---|---|
| 狩猟期間 | 北海道以外は毎年11月15日〜翌年2月15日 | 群れが大きくなる夏から秋は期間の外 |
| 免許と登録 | 狩猟免許試験に合格し、狩猟する都道府県に登録して狩猟税を納める | 被害に困った住民がすぐに始められる方法ではない |
| 銃猟の場所 | 住居が集合している地域、広場、駅など多数の人が集まる場所では禁止 | 駅前の街路樹や住宅街のねぐらは該当しやすい |
| 銃猟の時間 | 日の出前と日没後は禁止 | ムクドリがねぐらに集まる夜間は撃てない |
農林水産省の資料によると、ムクドリのねぐらは6月末ごろから竹林や公園の林、街路樹、駅前のビルなどに作られ、数百から数万羽が集まることもあります。人が多く集まる場所で、しかも夜に集まるという性質が、狩猟の決まりと重なりにくい理由です。
自治体はどんな対策をしている?
多くの自治体は、ムクドリを捕まえるのではなく、とまりにくくする、音や光で追い払う、フンで汚れた道を掃除する、という方法をとっています。どの方法をとるかは、群れが集まる場所の管理者(道路、公園、民有地)によって変わります。
- 大和市:ムクドリがとまりにくくなるような街路樹の剪定、音による追い払い、歩道の路面清掃を行っています。追い払いは効果が一時的で、追われた鳥が近くに移って被害が広がる場合があるため、回数を限っているとしています(令和5年9月の回答)。
- 浜松市:令和7年度のムクドリ対策業務の仕様書(案)で、日没1時間前から最長21時まで、玩具ピストルの大きな音、木槌で木をたたく音、専用のライトでねぐらへの飛来を防ぐ作業を委託しています。飛来が多いのはおおよそ7月〜11月としています。
- ふじみ野市:令和6年6月24日から3日間、上福岡駅の周辺で、ムクドリが嫌がる周波数の音を出す装置による追い払いを行い、その後に道路を清掃したと回答しています。
- 名古屋市:枝を減らす剪定や、電線にとまりにくくするカバーの設置が効果的だとしつつ、都市緑化のために樹木は必要なので希望どおりにならない場合もあると説明しています(相談Q&A集 第6版)。
被害がひどいときは許可を取って捕獲できる?
被害を防ぐ目的で、都道府県知事(または権限を移された市町村長)の許可を受ければ、捕獲できる場合があります。ただし環境省によると、許可の基準は目的ごとに鳥獣の種類・数・期間・区域・方法が定められ、都道府県の基準は鳥獣保護管理事業計画に書かれています。
大和市の回答は、野生鳥獣に関する業務を「神奈川県鳥獣保護管理事業計画」と関係法令にもとづいて行っているとしています。名古屋市の相談Q&A集は、市として野鳥の捕獲は行っていないとしたうえで、巣に卵やヒナがいて被害がある場合は捕獲許可のもとで除去できると説明しています。家の戸袋や屋根のすき間の巣は、「ムクドリの巣の記事」で手順を紹介しています。
住民にできることは?
群れがまだ小さいうちに音や光で追い払い、夜はフンが落ちる場所を避けて通ることです。長野市は、手をたたく、笛を吹く、懐中電灯の光を頻繁に当てるといった方法を組み合わせ、何日か続けて行うと効果があるとして、市民に協力を求めています。
街路樹や電線に群れが集まる場合は、その木や設備の管理者に知らせます。名古屋市の相談Q&A集は、市が管理する公園や街路樹なら剪定などの対策が考えられる一方、電柱や電線、民有地は市では対応できず、それぞれの管理者に問い合わせるよう案内しています。
よくある質問
ムクドリのねぐらはいつまで続きますか?
農林水産省の資料は、大きなねぐらは11月ごろまでに小さくなるか、なくなることが多いとしています。ただし近年は、1年中ねぐらを作る地域もあると書かれています。
追い払っても戻ってくるのはなぜですか?
大和市の回答のとおり、追い払いの効果は一時的で、近くの別の木に移るだけのこともあります。浜松市の仕様書は、木にとまってしまった群れを木槌で追い、移った先まで追いかけて追い払う手順を定めています。
自宅の庭木に集まる場合は?
自分の木であれば、枝を減らす剪定でとまりにくくする方法があります(名古屋市の相談Q&A集)。高い木の剪定ははしごからの転落の危険があるため、造園業者などに頼むことも考えましょう。
相談先・申込先の選び方
道路の街路樹や駅前の群れは、市区町村の道路・公園の担当課に、場所と集まる時間帯を伝えます。自宅の戸袋や屋根のすき間に巣がある場合は、環境担当に許可の要否を聞き、業者に頼むときは巣の撤去とすき間の封鎖をまとめて見積もってもらいます。
業者が追い払いや防鳥ネットを請け負う場合でも、捕獲を伴う作業には許可が要ります。許可が必要な作業かどうかと、その手続きを誰が行うかを、契約する前に確かめましょう。
出典(確認日:2026-10-21)
- 環境省:捕獲許可制度の概要
- 環境省:狩猟制度の概要
- 大和市:市長への手紙(中央林間駅付近のムクドリ)(PDF)
- 長野市:ムクドリの被害対策にご協力をお願いします
- 農林水産省:鳥獣被害対策の資料「ムクドリ」(PDF)
- 浜松市:令和7年度ムクドリ対策業務 仕様書(案)(PDF)
- ふじみ野市:市からの回答(令和6年7月から9月)(PDF)
- 名古屋市:野生鳥獣等に関する相談Q&A集(第6版・PDF)
法令の扱いは環境省・自治体の案内の紹介です。個別の判断は都道府県・市区町村の担当課に確認してください。
痕跡だけで決めず、安全に確認しよう。